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   平成23年度・試験講評 11/28 一般知識等を追加 NEW !
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   “絶対に合格”のための戦略
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平成23年度・試験講評

平成23年度解答速報はこちら>>

 全体について 

新制度になって5年目ということもあり、ようやく全体として良い問題が揃ったなというのが印象です。
以前には、理論的に詰めて考えると疑義のあるようなものや、×の肢だからいいようなものの、ミスリードと疑わしいものもありましたが、今回はそのような問題はありませんでした。
 一概に難易の比較は難しいですが、問題の質が揃った分、解きやすく感じました。

【法令等】
 問題形式として、組み合わせ問題は、昨年の13個から→8個(うち1つは実質的に個数問題)と減少したものの、個数問題も4→2へ減少したことで心理的にいく分、楽だと思います。


●基礎法学
まず問題1は正解できないといけない問題です。
ただ、試験開始直後で緊張しているところに正解肢の問題文には「法律が発効するためには…」とあったので、戸惑われたかもしれません。「法律の効力が発生するためには…」と書いてあれば、もっと楽に解けたと思われます。
問題2は、「基礎法学」の科目としては細かい知識の肢がかなり混ざってます。よくわからない肢ばかり並んでいるけれど、「高等裁判所の少数意見」というのは聞いたことがないとして「3」を選べればよかったのですが。基礎法学は、例年、2問のうち1問が難しいことが多いので、問題のレベルとしては、こんなところかなというところです。問題2は解けなくてもかまいません。


●憲法
レベル的には標準的。
特に問題5、問題7については、思考力を試す良い問題だと感じました。
問題5についていえば、人権制約の在り方について、どれだけ制約が許容されるのかという問題と、いかなる制約(事後の制約だけでなく事前の制約も許されるのか)が許容されるのかという問題なのかを、整理できるかを問うもの。
知識を平板に詰め込むように学習するだけでは対応できません。知識を伝える上で、理解が立体的になるようにお伝えしていくことの大切さを改めて感じました。
また、問題7の素材となった判例は、受験生が知らないことを前提に、現場の思考力を見ようと出題したものです。読解力で解けます。
平たく言えば、判例に書いてあるか否かという視点で各肢を見ていくと簡単です。
この手の問題演習をした人にとっては簡単。そうでない方にとっては難しく感じる、そういう問題だったと思います。

●行政法
全体に易し目。
細かなことを憶えていなくても、その制度がどういうものなのかという本質を理解していれば、全部の肢がわからなくても、正解できる問題が揃っていたと思います。
しかし反対に、記憶で対応しようとすると、引っ掛かり易い問題もあります。たとえば問題13は、行政手続法の定める用語の定義の記述の問題ですが、条文の規定そのままではなく、一部表現を修正しているところがミソです。まさに内容を理解しているかを問うものになっています。
問題15は、素材となった判例(最判H14.10.24)を知らなくても解けます。行政書士試験で出題される、判例を素材とした穴埋め問題は、たいてい肢をうまく利用すれば解けます。判例を知らないからといって戸惑わないことです。
過去問演習だけで正解するのは厳しいとすれば、問題26ぐらいだと思います。


●民法
難化したレベルに安定しているといったところでしょうか。このレベルに対応できるようになるには、かなり本格的に勉強する必要があります。
しかも、平成21年までは組み合わせ問題が多かった分、楽であったわけですが、昨年から組み合わせ問題3問、しかもうち1問は「すべて挙げた組み合わせ」を聞いているので、実質的に個数問題が2問となり、問題形式としても厳しくなっています。
また、今年は、行政書士試験特有の問題文が無駄に長いもの(途中の文章を読まなくても解ける問題)はなくなり、全部きちんと読んで解かなくてはならず、大変だったと思います。
典型は問題30の法定地上権の問題。文章は長く、どれも事例を的確に把握する必要があって負荷が高い。こういう負荷の高い問題は、一般に、後半に正解を配置することが多いです。前半に間違っている事例を複数置いておくと、理解が曖昧な人は混乱してしまうので、運良く正解することができなくなるというわけです。
ちなみに、私は問題30は肢5から解いて、肢4で正解に辿りつき、残りの肢1〜3は解いていません。こうすると楽に解けるのですが、これを肢1から順に解くとキツイ問題になります。
問題29は、ちょっと意地悪。肢ウは通説によると「妥当」な肢になりますが、判例によると「妥当でない」肢になるというものです。国家試験では通説よりも判例を優先して学習する必要があります。
問題33は、委任と事務管理。普通は、2年連続で出題されるような分野ではありませんので、まさか今年出題されるとは予想していませんでした。


●商法
これも難化したレベルで安定。救いは問題36の名板貸の責任。商法総則・商行為については、ここ数年マイナーな細かなところから出題されていましたが、ようやく一般的な部分から出題されました。これは得点しておきたい問題です。
会社法は、どれも厳しいです。その手続の本質を理解していることが必要。
問題40に至っては、間違えても仕方ありません(他所の予備校の解答速報も当初間違えていました)。肢5の「…剰金配当請求権を付与しない旨の定款の定めを置くことは許されない」が「誤っている」で正解。
会社法105条2項は、剰余金配当請求権「及び」残余財産分配請求権の全部を与えない旨の定款の定めを置くことができないとしているだけで、いずれか一方を与えない旨の定款は許容しています。
実は、司法書士試験で同じ問題が出題され、話題になったことがあったので、間違えずに済みましたが、これを知らなかったら私も間違えたと思います。
 
●多肢選択式
 問題41は、伊藤正巳裁判官の補足意見を素材にした問題。もっとも、その補足意見を知っているかどうかはあまり関係ありません。端的に、パブリック・フォーラム論(公共の場は一定の表現を行う場として有用であり、集会の自由に可能な限り配慮する必要があるという理論)についての理解があれば、解ける問題だといえます。
 平成17年第4問(択一式)も伊藤正巳裁判官の補足意見を素材にした問題でしたし、時折、表現の自由に関する問題にも、試験委員の関心がこの辺りにあるのだと感じさせる出題があります。

 問題42も判例素材。一般に行政行為に重大かつ明白な瑕疵がある場合は無効であるとされますが、課税に関する処分については、第三者の信頼保護を考慮する必要がないということもあって、明白性の要件に言及せずに行政行為を無効とした判例です。
 しかし、仮に判例を知らなくても、行政行為の無効を主張する場合は、取消しの場合のように、出訴期間の制限を受けないということに思い至れば、解ける問題でしょう。
 
 問題43については、ごくごく基本問題。迷い易いのは、ウの「重大な損害」、「回復困難な損害」、「償うことのできない損害」のいずれかが入るか。ここは整理して憶えておくべき知識でしょう。
 
 
●記述式
 問題44は、行政法ではじめて一般理論からの出題でした。
 基本的には、一般理論からは出題され難いと考えていましたが、これぐらいの問題は出るということなのでしょう。特に用意していなくても、だいたいのことは書ける問題だと思います。
 逆にいえば、「記述式対策」として定義ぐらい暗記すべきだというよりは、択一式を解く段階から、それぞれの制度の内容を正確に理解するようにしておけば、自然に書ける、それぐらいのレベルで学習しておきたいところです。
 
 問題45も46も、制度の大枠についての理解を問う問題。はじめてのパターンです。
 今後も、横断的な理解を問う問題を記述式で取り上げることは、十分予想されるところです。
 
 問題45は、抵当権が消滅する場合として、抵当権消滅請求と代価弁済を書くことになります。ただし、わざわざ「…抵当権が消滅する場合を二つ、40字程度で記述しなさい」とありますから、40字程度になるように記述する必要があるでしょう。試験委員としては、代価の設定のイニシアティブが、抵当権消滅請求については第三取得者に、代価弁済については抵当権者にあることを書いて欲しかったのではないかと想像しています。
 難癖をつければ、問題文に抵当権が消滅する場合として、被担保債権または抵当権の消滅時効と、第三取得者による被担保債権の代位弁済を挙げていますが、債務者が弁済や代物弁済した場合はもちろん、反対債権で相殺した場合、債権者が免除した場合でも抵当権は消滅します。「そのほかに、抵当権が消滅する場合を二つ」記述しなさいというのであれば、もう少し問題文に目配りすべきかと思います。
 
 問題46で、権限外の表見代理については、書いていただきたいと思います。
 使用者責任まで思い至るのは、ちょっと厳しかったかもしれません。ただ、問題文には、「支払いの請求、およびのそれに代わる請求」とありましたから、「それに代わる請求」といったら、普通は損害賠償請求。そして、損害賠償請求が出てくるとすれば、まずは債務不履行と不法行為という風に、連想していっていただければよかったと思います。

 
●一般知識等
一部では難しかったという感想も聞きますが、政治体制、日銀、貿易の自由化、租税および社会保障制度、公害・環境対策など、軒並み予想していたテーマからの出題であったので、難しいという印象はありませんでした。準備していれば7、8割得点できそうに思います。
 
 問題47の政治体制は、イギリスとアメリカの記述について判断がつけば、あとは肢の組み合わせでだいたい正解にたどり着けると思います。問題48は地方自治法で対応できますし、問題49の日銀は過去問でほぼ対応できます。一般知識等については、過去問それ自体を学習することにあまり意味がありませんが、世界の政治体制、日銀、財政といったいくつかのテーマだけは、過去問が有益です。
問題51は、社会人にとっては簡単な問題ですが、学生の方は厳しかったかもしれません。問題52は、ずばりわからなくても、なんとなく正解できるかなといったところ。問題53肢イの「無過失責任制度」は、原子力災害に関する無過失責任が話題になっていました。まさにキターという感じ。問題54、55の個人情報保護法、情報公開法も簡単。ここは得点しておきたい問題です。問題56も個人情報保護法の所轄が消費者庁とわかればOK。
 
情報通信はズバリわからない方でも、消去法を使って正解に辿り着けそうです。
 
 文章理解は、3問とも実質的に組み合わせ問題ですし、時間配分さえ間違えなければ解けると思います。文章の量がありますので、個人的には試験終了時刻が迫ったところで解かないように、文章理解は先に解くことをお勧めしています。
 
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平成23年度・試験実施について

 試験日程 

 平成23年11月13日(日)
 
 試験実施の概要(願書の配布場所、試験場、受付期間など)については、7月の第2週に 発表されます。

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平成22年度の合格発表を受けて

1月24日に平成22年度行政書士試験の合格発表がありました。
申込者数88,651人、受験者数70,586(受験率79.6%)、合格者数4,662人で、合格率6.60%。昨年の合格率9.05%から、2.45%減少となりました。
 
この2.45%減少というのは、かなり大きな数字です。仮に今年の合格率が昨年同様の9.05%とすると、合格者数は6388名、あと1726名ほど合格できる計算になるのです。
 
  では、来年は合格率が高くなるのか?
合格率の推移に目を向けてみると、平成18年度から順に8.64%→6.47%→9.05%→6.60%と増減を交互に繰り返しているので、来年は合格率が高くなる番だと期待したくなります。
 
しかし、実際にはそうなり難いと予想しています。
平成18年度から新試験制度になり合格率が5%をきったところ(平成17年度の合格率2.6%は新試験制度移行のための予兆と考えるべきだと思います)、平成19年度は受験者数が減る一方で新試験に対応できた人が増えたので合格率が増加。そこで、翌20年度に問題を難化させて合格率を減らしたところ、翌年は受験者側がこれに対応して合格率を9.5%まで押し上げた。そこで、平成22年度はさらに試験問題を精査してきたのではないかとみています。
 
合格率の高い年が2年連続で続いたことがないことからしても、今回程度の難易を想定して対策を考えるのが合理的だと思います。
 
ここで各種の国家試験の内容(質)を比較して見てみますと、司法書士試験は、少し前の旧司法試験の択一に近づいてきていて、行政書士試験は新司法試験の択一に近づいてきています。また、行政書士の商法に限っていえば、今年はもう司法書士とほとんど変わりません。
簡単にいえば、要求される知識が多くなってきていますし、論理性を問うものも増えているということです。

しかし、他の国家試験と決定的に違うのは、合否判定基準が一定だということです。
「問題の難易度を評価し、補正的措置を加えることもあります。」と断りながらも、新試験制度において補正的措置が採られたことはありません。
これまでの本試験の難易差はある意味想定内であり、もっと極端な差が生じない限り補正的措置は採られないと考えてよいでしょう。試験委員側も詳細な統計資料を持ってますから、おそらくそれほど差を生じさせることは、まずないでしょう

となると、依然として6割得点できればいい試験だということです。
そこで問題になるのは、どこで見切りをつけ、どこで確実に得点をするか―合格のカギはまさにここにあります。
 
●行政法で確実に点数を稼ぐ

確実に得点し易い科目の筆頭は行政法です。
出題数が多いだけに過去問のストックが十分ありますし、また問題のレベルも比較的安定しています。 したがって、過去問だけでも「しっかり」やれば8割以上得点できる科目です。

逆に、行政法で6割に得点が届かなかったとなると、学習が足りないと考えていいと思います。
ここでいう「足りない」というのは、勉強した「時間」ではなくて「内容の理解」。過去問については、答えとその理由付けを迷いなく説明できるぐらいまでもっていきたいところです。そうしておけば、後で述べる記述式の勉強にも繋がりますから、まさに一石二鳥!これをやらない手はありません。
もっとも、中には行政法はどうもうまくイメージできないという方もいらっしゃると思います。
そういう方は、まずは条文のある科目―行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法をやるのがいいと思います。一般理論から記述式は出題し難いからです。

反対に、商法の総則・商行為は、平成22年度・陸上の物品運送、平成20年度・匿名組合、平成19年度・場屋営業と、マイナーなところから出題されることが多く、しかも1問だけ。かける労力と得点のバランスを考えると、ここは思い切って省略、あるいはメジャーな部分だけにして、他の科目に労力を当てた方がよいのではないでしょうか。
もちろん余力のある方は、やるに越したことはありませんが。

●本試験は心理戦

本試験で難しい問題や見たことのない問題が続くと、非常に嫌な感じになります。そしてその嫌な感じを引きずったまま、次の問題を見ると、記憶していたはずのものが思い出せなくなり、あせり、そして酷いときはパニックになって何も出来なくなってしまうものです。
特に科目の初めの方に並ぶと、かなり負担が大きいものです。
実際、基礎法学の第1問など、落ち着いて検討できれば正解できる問題ですが、緊張した試験冒頭。しかも真面目に文章を頭から読んで穴を埋めようとすると案外、嵌ってしまうものです。そして続く第2問もちょっとこれまでと毛色が違う問題。さらに3問目の憲法の問題は個数問題と続きます。この3問目は実は簡単なのですが、これまでの2問を経て、頁をめくって「個数問題」だと判ると、それだけでプレッシャーを感じた方も少なくなかったと思います。
 
これが顕著なのが今年の民法でしょうか。
民法冒頭の問題27は簡単でほっとしたところに、問題28で地役権がらみの時効中断の問題、そして問題30で公示の衣という今となってはあまり見かけないフレーズを使った見解問題(実際は「公示の衣理論」を知らなくても解ける問題)。続く問題31は保証について「相談」形式で問うもので問題文が長い―とにかく揺さぶってきてます。

対策としては、1問、1問、気持ちを切り替える、とにかく次の問題に移ったらその問題に集中して前の問題を引きずらない(もう一度検討したい問題は印をつけて後回し)、問題は肢1から順番に解く必要なない(比較すると後ろの肢の方が簡単なことが多い)、ざっとみて簡単そうなところをピンポイントで探してみる―といったところでしょうか。
たとえば問題35は、問題の前フリが長いのですが、先に肢をざっと眺めてイの限定承認の肢を見つけてしまうと楽に解けます。
 
●配点の多い記述式こそ得点源にする

記述式は水物だから択一式で確実に得点しようと言われることがあるようです。
確かに試験委員も試行錯誤しながら作問しているようなところがありますし、部分点の採点基準も明らかにされていないので、そう言われるのも無理からぬところはあります。
しかし、1問20点、全3問で60点という配点は、合格基準点180点のうちの3分の1を占めています。ここで得点できれば非常に大きく、合格の可能性がぐんと高まります。
実際、択一がボロボロになっても、記述が書けてしまえば、かなりの確率で合格点をクリアできるのです。
しかも、水物だといっても、例年、一般理論と地方自治法を除いた行政法と民法の財産法部分から出題されていますし、さらに言えば、40字程度である程度一義的な文章を書かせるとなると、出題できるところは自ずと絞られます。
また、書くべき内容も、問題文の内容が把握できてしまえば、大概は基本的なことが多いので(問題45の「付記登記」は厳しかったと思います)、問題形式にあわせて知識を整理して準備すれば、十分に得点源にできるところです。
毎年、記述式の出題予想を「的中」させていますが、問題形式の性質上、出題が限られるので、出そうなところを潰していけば、何がしか「的中」するのは当たり前のことなのです。

これらを踏まえ、ベリースの行政書士合格集中講座では、民法及び記述式を一段と強化しました。eラーニングを徹底的にやっていただけば自然と得点できる、そういう講座にしています。

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平成22年度・試験講評

 全体について 

今年は全体として難化したと思います。
難化の原因としては、法令科目ではとりわけ民法と商法 細かい知識やマイナー分野からの出題が増えたことが挙げられます。
また、他の科目でも、全体として問題の尋ね方が一様ではなく、知識的には基本的 なものを訊いているが、解答を出す過程で考えさせる問題 が散見されました。このような面では法的素養を問うという試験の趣旨に沿ったものだといえると思います。
 
【法令等】
・基礎法学―標準的?
・憲法―標準的
・行政法―標準的
・民法―難化
・商法―難化

【一般知識等】
・政治・経済・社会―やや難化
・個人情報保護―易化(昨年並み)
・情報通信―標準的
・文章理解―やや難化

行政書士試験は、法律家としての法的素養を問うものとされている一方で、試験科目としては「行政書士の業務に関し必要な法令等」と「行政書士の業務に関連する一般知識等」とされ、いずれも行政書士の業務に関するものであることが明示されています。
では実際に、「法的素養を問うような問題で、しかも行政書士の業務に関するもの」かというと、必ずしもそうではなく、「法的素養を問う問題」と「業務に関する問題」とが混在しています。
とりわけ、「業務に関する問題」については幅広くとらえられられているのか、細かい知識を問う問題が増え、行政書士の業務に本当にそこまで必要なのだろうかと感じるものも幾つかありました。
それだけに今ひとつ「資格試験」としての傾向が掴みにくく、他の資格試験と比べると場当たり的な出題のように感じなくもありません。
この点については、行政書士試験としてどのような出題がふさわしいかというよりも、合格率の調整にかなり神経を使っているせいではないかと個人的には推測しています。
民法など、しっかりした勉強を求められていることは言うまでもありません。しかし、ある程度 知らない知識が出題されても仕方ないと割り切って、分かる問題を淡々と解くことが大事だと思います。

 各科目について 

●法令等
 
【基礎法学】
 問題1は、知識として「又は」と「若しくは」の使い分けを知っていても、空欄に接続詞を当てはめる形式の出題だったので、その分、解くのに負荷がかかった問題だと思います。
もっとも、頭から条文を読んで空欄を入れていくのは大変でも、空欄エに「又は」が入ることは容易にわかります。それを念頭に肢を見ると、空欄エに「又は」が入るのは肢1か肢5しかありませんから、うまく肢を利用できれば比較的容易に正解できた問題だったと思います。
 一方、問題2は資格試験というよりも、大学の教養として学ぶ法学の内容です。昨年の法テラスの出題は実務的な知識で、法学としては一般的ではない内容だっただけに、この傾向の定まらないのはちょっと難儀しますね。
 といっても、いずれ組み合わせ問題で消去法も使えるので、どちらか1問は正解できるかなというところです。
 
【憲法】
 全体として要求される知識としてはオーソドックスなものが並んでいました。
 問題5では「表現の自由の保障根拠」について、個人の自律か、民主主義の前提要素かが訊かれましたが、普段、表現の自由の価値は自己実現と自己統治にあるとセットで理解することが多いため、戸惑われたかもしれません。
 もっとも、保障根拠の相違で考えることに戸惑ったとしても、肢3が二重の基準とは異なる考えに立脚していることは明らかなので、正解できると思います。
 また、問題6は、悩ましい知識が混ざっていました。肢ウの国民健康保険税は目的税で憲法84条が適用されるという考えは、判例はカッコ書きで言っているに過ぎず、あまりメジャーな知識ではありません。ただ、肢エが正しい記述だと分かれば、肢1〜3は消去できますし、肢エと矛盾する肢イは誤りだとわかるので、肢の組み合わせで正解できる、といったところではないでしょうか。
 問題7は、一見、議事手続における「先例及び通説」が何かが問われているように見えますが、肢1、3、5は単なる条文知識です。
 問題は、肢2と肢4のいずれが「先例及び通説」にあたるかですが、問題文に「ごく少数の議員のみによって議決が成立することのないように配慮しつつ、多数決による議決の成立可能性を確保する」と「先例及び通説」の考えが書いてありますから、ここで落ち着いて考えれば、白票を出席議員数に算入する肢2が正解だと判断できると思います。
 知識を訊いているようで、実は思考を試している良問だと思いました。
 
【行政法】
 昨年に引き続き、科目構成が、国家賠償法2問、地方自治法4問、組織法2問と、平成20年度以前とは少し異なっています。とはいえ、この部分の科目構成については、固定ではなく、来年度以降も多少配分が動く可能性はあると思います。
 問題の難易としては、従来の過去問レベル。条文と重要な判例知識で解ける問題が揃っています。
 問題10にしても、全部の肢が分からなくても、正解となる肢2の判例は、絶対に知っておくべき判例ですから、これはピンポイントで肢2が正解だとわかって欲しいところです。
 問題形式としては、昨年の組み合わせ問題が1つ、個数問題が2つから、今年は組み合わせが3つ、個数問題2つとなったので、その分、易しくなったといえます。
 もっとも、択一式はやや易しい〜標準的でも、多肢選択式・問題43の伊方原発訴訟事件について全部を正確に穴埋めするのは、これまでの多肢選択式より厳しいので、全体としては標準的な問題という評価になるかと思います。
 
【民法】
 知識的にも、問題形式としても、明らかに難化しました。
 問題27は、絶対に落としてはいけない問題でしたが、続く問題28では通行地役権まで出てきました。これまで用益物権は出題されたことがなく、しかも正解が通行地役権の肢にあったので、正解するのは厳しかったと思います。
 問題29は、組み合わせ問題でもあるので、消去法を使ってなんとか正解に辿りついて欲しいところです。
 問題30は頭の体操。個人的には、今更、我妻説の「公示の衣」の理論を出さなくてもと思いました。最近の基本書では、この理論を正面から取り上げてはいないようです。
 また肢オでは、目的物が分離され動産になったときに、「適切な維持管理をB(抵当権設定者)に期待できないなどの特別の事情のない限り」、抵当権者は自己への引渡しを求めることができないという記述になっていますが、これは設問の見解とは関係ありません。
 ここは、抵当不動産の不法占有について判示した最判平成17年3月10日を引っ張ってきたと思われるのですが、果たして、分離した動産についても同様に処理できるのか―。判例の趣旨に照らせば、肢オの理屈も十分成り立つものの、少々安易な感じを受けます。
 とはいっても、最判平成17年3月10日の判旨は、記述式のヤマとして受講生にお伝えしたところなので、受講された方は肢オは分かったと思います。
 問題32も、いよいよ事務管理まで出題してきたか、というのが正直なところです。そして続く問題33の不当利得も分野としてこれまでほとんど出題がなかったところ。個数問題でもあるので、問題33は正解できなくても仕方ありません。
 問題34、35は、文章は長いものの、訊いている知識は基本的なものなので、正解して欲しい問題でした。
 
 出題の形式面では、昨年は、組み合わせ問題が(実質的な組み合わせ問題も含めると)7問でしたが、今年は4問に減少し、しかも問題30は組み合わせといっても、肢の数が異なるものが入っている分、明らかに難しくなっています。
 
【商法】
 細かい知識の問題が多く、司法書士試験のような印象を受けました。
 商法・会社法については、知識の細かい順に、司法書士>公認会計士・新司法試験>旧司法試験となっていますが、司法書士試験で細かい知識が出題されるのは、業として商業登記法の手続をするからです。あまり細かな知識で勝負をつけるというのはどんなもんでしょうか。。。
 特に、商法総則・商行為から出題された陸上の物品運送。商法総則・商行為から出題されるのが1題で、昨年に引き続きマイナーな分野からの出題ですから、ここまできたら、いっそ商法総則・商行為は全くやらず、会社法をしっかりやるというのも1つの手だと思います。
 実務に必要であると言われるのであれば、合格後に必要なところを勉強すればいいのではないでしょうか。
 問題38の新株予約権も、かなり厳しい肢が揃ってます。肢エの新株予約権付社債は、行政書士の実務にはまず関係ないところですし、ここは正解できなくても仕方ないと思います。
 商法については、2問〜3問を正解できるかどうか―それぐらい厳しい問題レベルだったと思います。
 
【記述式】
 問題44は、基本的な問題で、「主文で違法と宣言」「請求棄却」「事情判決」と3つの要素がきちんと書けないといけません。
 
 反対に問題45は、かなり厳しい。「付記登記」まで書かせるとは、予想を上回りました。申し訳なかったです。
 しかし、求償と法定代位については記述式のヤマとして受講生にお伝えしましたから、「求償権を確保するため」と「抵当権を行使することができる」ということは、書いて欲しいところです。
 なお、講座をやっている側の解答例としては「あらかじめ付記登記を経た上で」としましたが、問題文は「どのような手続を経た上で」と手続の「内容」を訊いているので、「付記登記を経た上で」だけでも問題に答えたことになるはずだと言いたいところです(「あらかじめ」あるいは「譲渡前に」は、「経た」に対する修飾語であって、手続の内容である「付記登記」の修飾語ではありません)。
 「あらかじめ付記登記を経た上で」を正解にするのであれば、問題文は「どのような要件で」とするのが適切でしょう。ただし、そうすると「どのような要件の下で、どのような権利を行使することができるか」という、要件と効果の両方を尋ねるという妙な問題になってしまうところに悩みがあったのかもしれません。。。
 
 蛇足ですが、昨年の行政書士試験研究センターが発表した問題44の正解例の1つは、「拘束力により、十分な理由を付して、何らかの処分をやりなおさなければならない。」であり、厳密には不正確なものでした。
 十分な理由を付すのは拒否処分をやりなおす場合で、発給処分には必要ありません。ところが正解例では、どちらの処分でも十分な理由を付すという文章ですから、おかしいわけです。
 とにもかくにも、配点が大きい記述式は、問題文も予定する正解も、もっと吟味して欲しいところです。
 
 問題46は、趣旨を書かせる問題。
 知識的にはそんなに難しい問題ではないのですが、気になるのは「最高裁判所の判例を踏まえ」とされ、「判例によれば…」に続く形で解答するようになっていることです。
 判例の言い回しの通りになぞって書かないと減点されるのかどうか―ここは正直読めません。定義を示した判例であれば、判例の通りになぞって書くべきですが、趣旨は内容が同じであれば、どのような説明をするかはある程度幅があっていいはずなのですが。たとえば、我妻講義では、「不法行為の誘発」ではなく「自力救済の禁止」と表現していますが、同じことを言っているわけです。
 仮に判例の言い回しのとおりでないと減点されるのであれば、それはナンセンスだと思いますが、採点結果に注目したいと思います。
 
●一般知識等
 昨年は、軒並みヤマとされていたテーマが出題され、組み合わせ問題も多かったので得点しやすかったのですが、今年は例年並に戻った感じです。
 問題47は消去法も使えば、なんとか正解にたどり着けるかなという問題。問題48は行政法の知識でア×、イ×、ウ○まで判断できるはずなので、後は肢の組み合わせて正解して欲しいところです。
 問題49は、常識問題。対策を立て難いです。
 問題50は厳しいが「義務的経費」を明確に知らなくても、支払うことが義務になっているものを選ぶようにすれば、正解できるかという問題だと思います。
 問題51、53は厳しい。問題52の日本の雇用・労働は、社会人の方は正解できたかもしれません。雇用と労働は大きなテーマとしては出題を予想していましたが、具体的にどのような内容を訊いてくるのかまでは、厳しかったです。
 
 個人情報保護法と情報通信は簡単。過去問とも被ってますし、いずれも正解して欲しい問題です。
 文章理解の問題58及び60は正解して欲しいところでしょうか。
 
 昨年より難しいといっても、個人情報保護などある程度準備した方は、最低限の得点は取れたと思います。逆に、ここで得点を伸ばそうとしても、出題のテーマが絞りきれないだけに、あまり得策ではないと思います。
 来年も、だいたいこんな感じでくるだろうと予測しています。

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平成21年度・試験講評

 全体について 

例年、他の国家試験と比べると問題の難易の差が大きいのですが、全体的に標準的な問題が揃っていたと思います。一般知識等は易化しました。
 
【法令等】
 ・択一式  基礎法学−問題2が難しい。憲法−標準的(易化)、民法−昨年に比べてやや難化、行政法−標準的、商法−やや難しいが昨年並か。
 ・多肢選択式−やや難しい。
 ・記述式−やや難しいか(聞いている内容は簡単だが、書くべき文言を絞り難い)
【一般知識等】
 ・政治・経済・社会−易化
 ・個人情報保護−易化
 ・情報通信−標準的
 ・文章理解−例年並(59番はやや難しい)
 

 各科目について 

●法令等
【基礎法学】
 問題1は正解すべき問題ですが、問題2はここまでが『基礎法学』の範囲かと言われると厳しいです。もっとも、実務的には知っておいて欲しいということだと思います。
 
【憲法】
 今年はオーソドックスな問題が揃ったと思います。
 問題3は、見慣れない問題ですが、問題文中に「立憲」という文言が複数ありますから、 『立憲的意味の憲法』か否かで判断できるとわかると思います。
 問題4は、問題文は長いのですが、「手紙」の部分は読まなくとも単純に肢にある判例の正誤で判断できます。
 普通は、前フリ部分(問題3でいえば手紙の部分)も含めて考えて、はじめて正解できるような問題を作るものですが、行政書士試験を見る限り、必ずしもそのようにはなっていないようです。しかし、長くても必ず問題文は「すべて」読むのは言うまでもありません。長い問題文は、一度、ザット読み流して大体のところを掴んでから、正解を改めて検討するというのもいいかもしれません。
 
【行政法】
 問題13は見慣れないので難しく感じるかもしれません。しかし、公権力対私人か、私人対私人かで見ていくと、アとオは公権力対私人の関係で問題になる事柄であるとわかります。他方、イの不当労働行為は、使用者と被用者との間の争いですから私人対私人、つまり、私人間紛争の裁定的性格を有するものとわかり、この時点で、肢の組み合わせで2か3に絞れます。
 そしてエが「特許無効審判」の「請求」とありますので、特許権を侵害されたと主張する者に対し、その相手方が特許権の無効を主張するという構図が読み取れれば、正解3に辿りつくことができます。
 問題15は、行政不服審査法の抜本的な改正が検討されていることを知らなくても、自由選択主義〜行政不服審査と行政事件訴訟を自由に選択できる〜ということで正解が2だと分かります。
 
【民法】
 特筆すべきは9問中、7問が組み合わせ問題であったことです。全体として知識的には難しい問題が増えましたが、全部の肢がわからなくても、肢の組み合わせで正解できることが多々あります。肢の組み合わせをうまく利用できたかが得点の分かれ目になると思います。
 たとえば問題30の肢オはかなり細かな知識ですが、肢アとイは基礎的な条文知識で、いずれも誤りだとわかり、その時点で正解は4と5に絞られます。後はオは考えなくても、ウまたはエの肢の正誤がわかれば正解できるというわけです。
 また、問題33問、仮に判例を知らなくても、転貸借契約が転貸人と転借人との契約であることがわかれば、正解できます。
 
【商法】
問題36の商法総則・商行為はオーソドックスな問題になりました。しかし毎年1問なので、ここの分野は捨てるのもアリだと思います。
問題39の事業譲渡までは手が回らない方も多いのではないでしょうか。
 
【記述式】
問題44で外務大臣に義務付けられる対応をどのように書くかは少々迷うと思います。
問題文に「理由の提示が不十分であるとして、請求を認容する判決」とあるので、具体的に「適切に理由を提示する」と書くべきか迷った方もいると思います。
 しかし、拒否処分をするのであれば「適切に理由を提示する」となるのですが、認容判決を受けて許可することも考えられますので、解答速報では「判決の趣旨に従い改めて申請に対する処分をする」としました。
問題45も、どういう文言を使って書いたらいいのか迷ってもおかしくありません。
 たとえば「どのような権利について」と、この部分だけに注目すると、「保証債権について」と書いても間違いではありませんし、また「どのような請求をすることができるか」という部分も、「金銭の支払いを請求することができる」と書いても間違いではありません。
 ただ「どのような権利について、どのような契約に基づいて、どのような請求をすることができるのか」と総合的に考えると、解答速報のように「Aに対する求償権」について「連帯保証契約に基づき」、「連帯債務の履行を請求することができる」と出題者側は書いて欲しいのだろうな、ということになります。しかし、問題としてあまりいい感じはしません。
 
●一般知識等
 全体に易化しましたが、これは問題の形式面によるところが大きいと思います。
 昨年と比較すると、文章理解を除いた11問中、個数問題(正解または不正解の肢を数えさせるもの)が3個あるのに対し、今年はゼロ。一方で組み合わせ問題は、昨年の4から6に増加しました。ここまで変えてくるのは、国家試験では珍しいことです。個人的には、来年は、少し揺り戻しがあるような気がします。
 
【政治・経済・社会】
 問題47の選挙制度、問題50の地球温暖化は大ヤマからの出題といえます。これらは正解すべき問題でしょう。そのほかの問題については、全部の肢がわからなくても、5肢のうち1、2肢は必ずよく知られている内容になっていたので、組み合わせで正解できた人も少なくないと予想されます。
 
【個人情報保護・情報通信】
 今年は、個人情報保護法からは1問の出題でしたが、情報通信も問題57のテレビ放送のデジタル化以外は法律問題でした。情報通信の専門家には法律畑の方と技術畑の方がいらっしゃいますが、試験委員は法律畑の方ですので、法律問題が多いという傾向は続くと思います。
 問題55の青少年のインターネット環境については、平成21年4月より青少年インターネット環境整備法が施行されたことで、大ヤマでしたし、また、問題56の肢1特定電子メールの適正化等に関する法律も平成20年改正、平成21年12月より施行とトピックなものでした。e-文書通則法は昨年出題されましたばかりですから、過去問を見ていれば問題なかったと思います。
  過去問は、政治、経済、社会については出題傾向を見る程度の利用になりますが、個人情報保護法と情報通信についてはちゃんとさらっておくべきでしょう。
 また、余談ですが、問題56の肢2のプロバイダ責任制限法については、注釈で「…発信者情報の開示に関する法律」と正式な法律名が書かれており、答えそのものですから、知識がなくても正解できてしまいます。
 普通は問題文に答えが書いてあるような問題は作りませんが、問題文は隈なく読むという鉄則の大切さがよくわかります。

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平成21年・合格発表を受けて

 合格発表から見えたもの 

 1月26日に合格発表がありました。
 合格判定基準に調整はなく、受験者数63,907人に対し、合格者数4,133人。合格率は6.47%と、昨年の8.64%より2.17ポイント減少となりました。
 
 簡単にいえば、昨年よりもやや難しかったということになります。
 しかし、昨年は択一式問題のみで合格基準点を超える方が結構いたようですし、また、記述式も緊急避難というマイナーな部分で出題されたためか、受験生の再現から推測する限り、採点が甘めの印象がありました。むしろ今回が標準的な出題だったと捉えるべきだと思います。
 
 実際に、新試験制度になった平成18年度からの合格率の推移をみると、4.79%→8.64%→6.47%と、5%前後に近づいてきています。
 もともと合格率が5%程度になるように試験問題を作成しているといわれていますし、新試験制度での3回目の試験ということで、出題内容もかなり安定してきました。このことからも、今回の試験内容が今後の目安になると思います。
 
 今回の発表で1つひっかかるのは、記述式問題45の正解例です。
 中心部分は、「信頼関係が破壊されたとは認められない特段の事情がある場合」、「背信行為と認めるに足りない特段の事情がある場合」にあります。いわゆる『信頼関係破壊の理論』が答えということですが、「特段の事情」を書かないと減点されるのかどうか?
 
 確かに、賃借権の無断譲渡・無断転貸については、それ自体が背信性のある行為なので、「賃貸人による解除が認められない場合」とは、正解例のとおりになります。
 しかし、賃料の不払いについては、判例は、軽微であれば背信性はなく解除できないというのを前提にしており、したがって「信頼関係が破壊されたとは認められない場合」あるいは「背信行為と認められない場合」と書いても正解のはずです。実際の判例でも「特段の事情」という文言は、無催告解除の場合(本来は、催告の上解除すべきなので、無催告解除するには「特段の事情」が必要)を除いて使われていません。裁判官の著書ですと、この辺りは、きちんと書き分けられています。
 これらをまとめて答えさせること自体、あまり適当でないのですが、どのような採点をしたのかも配点が高いだけに非常に気になります。もっと出題者に配慮が欲しいところです。

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平成21年度に向けた合格戦略

 来年こそ合格するための戦略

 今年は、憲法が普段見慣れていない問題であったこと、行政法で判例が多く聞かれたことが印象的でした。
 そうすると、第一番にこのような出題への対応を考えなければならないとなり勝ちです。特に合格のボーダーライン上、あるいはそのちょっと下の辺りの方は、その傾向が強くなります。
 
 しかし、試験はトータルで考えましょう。基礎法学、民法はオーソドックスな出題でしたし、配点の大きな記述式もオーソドックスな出題でしたから、実際に180点を得点するのに必要なレベルというのは、昨年とそう大きく違っているわけではないと思います。昨年合格できた方は、仮に昨年の時点で今年の問題が出題されていたとしても、合格に必要な点数を採れたのではないでしょうか。
 一般に、難しい問題にも対応できるようにするには、かなりの労力を要します。しかし、その前に基礎的な問題をすべて正解したかどうかを検証することが先です。
 基本的な問題、標準的な問題をすべて正解しても最低合格点に届かないのであれば、応用的な問題への対策が不可欠となります。しかし、基本的な問題、あるいは標準的な問題だけで、合格最低点は十分超えるはずです。とすれば、やるべきことは標準的な問題を確実に得点できるようにすることだと思います。
 
 もっとも、行政法についていえば、平成21年4月1日において未施行といえど行政不服審査法が改正されているとなれば、中途半端な旧法の条文知識を問うよりは、判例の問題が多くなると思います。といっても、入門的な基本書(たとえば、「行政法」(桜井敬子・橋本博之著)に出てくる範囲でいいと思います。
 これに対し、憲法については、おそらく揺り戻しがあるような気がします。他の科目についても、難しい問題やマイナーな問題が出題された翌年は、オーソドックスな問題に戻る傾向があるからです。この辺りは、試験委員も「法的思考力を試す」試験になるよう、模索している印象を受けます。
 また、記述式は配点が大きいので、昨年の緊急避難のようなマイナー分野からの出題は、普通は避けます。そうしないと、たまたま知っていたか否かで合格が左右されてしまうからです。
 
 まとめますと、来年の合格への戦略としては、従来どおり、基礎を固めるのを第一とし、プラスアルファとして行政法について判例を少し強化していくということになろうかと思います。

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出題表(行訴法・地自法)

 行政法は、過去で出題された問題に関する条文をおさえておくと断然有利です。
 そこで、出題された問題にかかわる条文を表にしてみました。傾向がはっきり出ているのがお分かりいただけると思います。まずは出題された条文をしっかりやる!
 これが合格への近道です。
 
  行政事件訴訟法【PDF】  地方自治法【PDF】

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“絶対に合格”のための戦略

合否判定基準から今後の戦略を考えてみました。まずは、行政書士試験センターの発表した合格基準やそれに基づいて各科目の配点を表にしたものを見てください。
 
 ●合格基準
  法令等 122点以上  一般知識等 24点 全体で180点以上  

  択一式 多肢選択式 記述式 配点
  問題数 (4点) 問題数 (8点) 問題数 (20点) 合計
基礎法学 2 8         8
憲法 5 20 1 8     28
行政法 19 76 2 16 1 20 112
民法 9  36     2 40 76
商法・会社法 5 20         20
小計 40 160    24    60 244
政治・経済・社会 6 24         24
情報通信 2
8         8
個人情報
保護
3 12         12
読解 3 12         12
小計 14 56         56

◎カギは正確な理解。記述式は最後まで諦めない!

 今年は行政法の出題が多かった年ですが、配点からすると、民法の占める割合も高いことがわかります。受験された方はお分かりのとおり、民法で記述式が出題されためです。
 来年は、会社法での出題となり、商法・会社法の出題の増加が予想されますが、まずは民法をしっかり身に付けることが王道です。
 特に記述式では、条文をどれだけ正確に理解しているかが表れます。
 たとえば、記述式の46番であれば、抵当権がどういう内容の権利なのか、誰と誰との関係においてどのようなことが問題になり、どのような制度が用意されているのかが理解できていれば答えられる問題です。
 あとはキーワードを組み立てて単純な文章が書けるかどうかです。40字程度という制約がある以上、あまり解答の仕方に幅が出ないものになりますから、おのずと条文の中のキーワードを使って表現するというようになるはずです。普段から、意識的に条文にあたり、そこで出てくるキーワードを自分の頭になじませていくことが大切になります。
 ここで注目なのは、記述式の3問分の配点(60点)が実に合格基準点の3分の1を占めているということです。要は、まずは条文の知識を正確に理解している人を合格させようという意図が汲み取れます。
 このことは、択一問題に取り組む場合も意識してください。
 とかく試験というと○×で答えることを追いかけていってしまいますが、なぜ正解が○なのか、あるいは×なのか、その理由を押さえることの方が重要です。問題を解いて解答を読んだら、わかったではなく、その解答から目を離してもう一度自分で理由をいってみる、または書いてみるというように、意識的に理解の正確性を確実にする方法を取り入れてみてください。
 択一の勉強をすれば記述ができるようになり、記述ができれば択一もできるという勉強になるはずです。
 最後に、記述式では最後まで諦めないことです。配点が20点あるのですから、部分点も期待できるはずです(正式な試験結果の通知がくるまではっきりしていませんが)。たとえすっきりとした答えが浮かばなくても、問題のテーマとなっていることから考えられることをできる限り書いてみる、という姿勢が大事だと思います。

◎一般知識等では読解を落とさない!

 一般知識等は、24点以上、最低6問を正解しなければなりませんが、6問のうち読解で3問とれれば、随分楽になります。読解力は、行政書士の実務にとって不可欠なことからしても、読解を3問正解することが受験対策上としても王道だと考えます。
 ただし、読解の問題の文章は長く、問題の最後に配置されていましたから、試験終了間際に慌てて取り組むよりも、試験直後のクリアな頭で解くというように工夫してみてはいかがでしょうか。
 読解で3問採れるのであれば、残りの3問は各自興味のもてるテーマで拾えるようにして、法令科目に力を入れるというのが得策かと思います。

◎60点を確実に拾う!

 絶対に忘れてはいけないのは、6割正解すれば合格する絶対試験だということです。
 今年も、各予備校の解答速報と行政書士試験センターの発表する解答といくつか違う問題がありました。前年にギリギリのところで不合格になった方ほど、こういう問題が気になってしまいます。あと1点あれば合格できた…という心理がそうさせてしまいます。
 しかし、6割正解すればいいというのであれば、迷う問題は気にしないことです。正解を迷うような問題が長文の問題だったりすると、長文ということで、いかにも重要な問題と感じてしまいがちです。
 しかし、問題が長かろうが短ろうが、簡単だろうが難しかろうが、択一問題の配点は一緒です。迷う時間があったら、さっさと次に移って簡単な問題を取りこぼさないことです。
  迷った分の労力とストレスこそが最大の敵!といっても過言ではありません。
 行政書士試験では、迷う問題や難しい問題も出題されますが、合格するためには、それらの全部に対処できるようにする必要はありません。
 日頃の勉強でも、まずは過去問を正解できるようにし(理由もしっかり押さえること)、その上で法改正部分や民法の事例問題への対処をやっていけば合格点は取れるはずです。

 ベリースの合格集中講座では、記述式はもとより、民法の事例問題対策にも力を入れています。是非、ご期待下さい。
 


 

本試験からみる短期合格の秘訣

〜平成18年度本試験問題を素材にして〜
 
◎100点を狙うな、合格基準を狙え!

 行政書士試験は、年々、難しくなってきています。そのため、沢山勉強しなければ受からない→沢山の知識を覚えなくては…と考えがちです。
 しかし、本試験の出題範囲をすべて頭に入れるには、いくら時間があっても足りませんし、出題者側も、それを求めていないはずです。
 しかも、行政書士試験は合格基準に達した人は全員合格となる絶対試験です。けして100点を目指す必要はありません。
 目指すべきは、『効率よく、確実に合格基準を超えること』です。効率よく、確実に合格基準を超えられるようにすれば、1回の受験で合格できます。
 では、『効率よく、確実に合格基準を超える』にはどうすればいいのでしょうか。
 そのヒントは本試験問題にあります!

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◎制度の趣旨を確実に押さえれば細かい暗記はいらない!

 実際に問題を検証してみましょう。
 
 【問題4】は、条文をきちんと読み込んでおけば解ける問題です。
 もっとも、具体的な条文が思い出せなくても、『天皇は象徴であり、政治的行為を禁止されている』ということを思い出せれば、自ずと解ける問題です。
 天皇は、政治的行為を禁止されていますから、政治的な行為であるア〜エを天皇が行うことはあり得ないとわかるはずです。また一方で、ニュースなどを見ていれば「衆議院の解散」を天皇が行う場面を目にしますから、正解が4であると判断できます。

 【問題10】は、一見すると旅館業法や公務員法等の細かい知識をきいているように思われるかもしれません。
 しかし、
 ・職権取消…「違法な」行政行為の効果を消滅させる行為
 ・撤回…「適法な」行政行為の効果を消滅させる行為である
という基本的な理解があれば、行政行為自体が違法ではない肢2・3については、容易に誤りと判断することができます。
 
 また、このような基本事項の正確な理解があれば、知らないことも推測して正誤を判断できることもあります。
 たとえば、肢4は、職権取消に個別の法律上の根拠が必要かどうかを問う問題ですが、「職権取消は違法な行政行為を消滅させる行為である」という基本事項を押さえていれば、そもそも「違法な行政行為は法律の根拠に欠け、法律の留保の原則に反しているものだ」→「違法な行政行為を明文の根拠なくこれを取り消しても法律の留保の原則に反しないはずだ」、とその場で考えることも可能です。
 
 このように見ていくと、知識を知識として覚えるのではなく、その制度・趣旨と関連させながら知識を整理していくことが大事だということがわかるはずです。

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◎組み合わせ問題には知らなくてもいい肢が混ざっている!

 今年の出題を見ても、基本的な条文の知識を問う問題は、すべての肢について判断を求められる個数問題として出題されています(問題4、7等)。個数問題は、基本的に出題者側がこれぐらいは知っておいて欲しいというメッセージだと思った方がいいでしょう。
ただし、中には難易度を調整するために明らかに難しい肢ばかり並べてある場合もあるので、注意が必要です。
 
 これに対して、商法で多く見られた細かな知識を問う問題は、肢の組合せで正解をきいています( 問題363739等)。
 このような組み合わせ問題では、知らない肢があっても気にしないことです。このような組合せ問題は、2つぐらい確実な肢を判断できれば消去法で答えが出るようになっていますし、細かい知識の肢は目くらまし的に入れていると割り切ることです。出題者側が目くらまし的に混ぜている細かい知識にも対応しようと、知識を増やすのはナンセンスです。
 むしろ、知らない知識が出たことで動揺しないように、知っておくべき知識を確実にすることが合格への近道です。

◎問題文にヒントあり!


 今年の問題を見ると、問題文の柱書(前フリ部分)が解答のヒントとなっているものが多くありました。たとえば【問題56】です。
 ここでは「憲法上の自由との関係で」というのがヒントになっています。つまり、各団体がどのような憲法上の自由と関連があるのかを順に考えていけばいいわけです。
 そうすると、報道機関は表現の自由(報道の自由)、大学は学問の自由、宗教団体は信教の自由…というように関連づけていくと、「弁護士会」とズバリ関連するような憲法上の自由はないと気づくことができます。
 
 もちろん、1度は適用除外となっている事業者を見ておく必要がありますが、そのときに適用除外の事業者を1つずつ暗記するのではなく、憲法上の自由との関連で適用除外の事業者が規定されているということを押さえることの方がずっと重要です。また、そのように押さえておけば、多少、本番の緊張で知識が曖昧になっても、正解にたどりつけます。

 以上から、試験対策としては、細かな知識を覚えるのではなく、基本事項を押さえ、制度・趣旨との関連で知識を整理していくことが短期合格へのカギであるということがお分かりいただけたかと思います。これこそが、総務省の目指す『法的思考力を問う試験』であるといえます。
 ベリースの合格集中講座は、このような『効率よく、確実に合格基準を超えること』をコンセプトにしています。
 これから来年の試験に向けて頑張りましょう。ゴールは思ったよりも近いはずです。

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